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この記事を書いた人:とっち 理学療法士/回復期リハビリテーション病院 勤務18年目 |
歩くと足がしびれる…それ「脊柱管狭窄症」かもしれません
「少し歩くと足がしびれてきて、休むとまた歩けるようになる」——こんな経験はありませんか?それは単なる「歳のせい」ではなく、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)という疾患のサインかもしれません。回復期リハビリテーション病院で18年間、多くの腰や下肢の症状に悩む方々と向き合ってきた理学療法士として、今日はこの病気の正体と、ご自宅でできるセルフケアについて、できるだけわかりやすくお話しします。
⚠️ この記事は一般的な情報提供を目的としています。気になる症状がある場合は、自己判断せず整形外科などの医療機関を受診してください。
脊柱管狭窄症とはどんな病気?

背骨(脊椎)の中には、脳から続く神経の通り道である「脊柱管(せきちゅうかん)」というトンネルのような空間があります。加齢によって椎間板が膨らんだり、骨や靱帯が分厚くなったりすると、このトンネルが狭くなり、中を通る神経が圧迫されてしまいます。これが脊柱管狭窄症です[1]。
特に高齢の方に多くみられ、お尻や足にかけての痛み・しびれ、歩行のしづらさといった症状を引き起こします[1]。
🔍 特徴的な症状「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」
しばらく歩くと足にしびれや痛みが出て歩けなくなり、少し前かがみで休むとまた歩けるようになる——この「歩く→休む→また歩ける」を繰り返す症状を間欠性跛行と呼びます[2]。脊柱管狭窄症のサインとして非常によく見られる特徴です。
姿勢によって症状が変わるのが特徴
| 姿勢・動作 | 症状の変化 |
|---|---|
| 前かがみ(背中を丸める) | ✅ 楽になりやすい |
| 背筋を伸ばす・反らす | ⚠️ 悪化しやすい |
| 買い物カートや自転車 | ✅ 楽に動けることが多い |
| 平らな道を長く歩く | ⚠️ しびれ・痛みが出やすい |
腰を丸めると脊柱管が少し広がり、神経への圧迫が緩むため症状が和らぎます[2]。逆に腰を反らせると脊柱管がさらに狭くなり、症状が強く出やすくなります。「カートを押している時は楽なのに、まっすぐ歩くとつらい」という方は、まさにこのパターンに当てはまります。
現場で見てきた実際のケース
💬 ある患者さんのお話
回復期病棟で担当した70代の女性患者さんは、「スーパーまでの道を歩くと途中で足がしびれて立ち止まってしまう。でもカートを押していると最後まで歩ける」と話されていました。
最初は「年齢のせいだから仕方ない」と思っていたそうですが、詳しく評価すると脊柱管狭窄症による間欠性跛行の症状がみられました。入院当初は平地歩行で100mほど歩くと両下肢のしびれが出現し、休憩が必要な状態でした。
そこで体幹筋力トレーニングや股関節周囲筋の強化に加え、前かがみ姿勢を意識した歩行練習を継続しました。すると約6週間後には連続歩行距離が100mから300m程度まで延び、「前より安心して歩けるようになった」と話されるようになりました。
退院前には「買い物に行くのが怖くなくなった」と笑顔で話してくださったことを今でも覚えています。
この経験以来、私は「歩くとしびれる」「前かがみだと楽になる」という訴えを聞いたら、脊柱管狭窄症の可能性を必ず考えるようにしています。症状を年齢のせいと決めつけず、早めに評価と対策を行うことの大切さを改めて感じた症例でした。
リハビリ・運動療法でできること
腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021では、保存療法として教育指導・運動療法(リハビリ)・薬物療法から開始することが基本とされています[3]。多くの方は手術をしなくても、運動療法を中心とした保存療法で症状の改善が期待できます[3]。
🏃♀️ 自宅でできるセルフケア例
① 腹式呼吸+お腹のドローイン
椅子に深く座り、お腹をへこませながらゆっくり息を吐き、5秒キープ。その後お腹を膨らませながら息を吸う。これを10回繰り返します[4]。体幹のインナーマッスルを意識的に使う練習になります。

② お尻の引き上げ運動(ヒップリフト)
仰向けで両膝を立て、お尻を持ち上げます。腰を反らせすぎないように注意しながら10回×2セット行います[4][5]。お尻や太ももの裏の筋肉を鍛え、腰の安定性を高めます。

③ 軽い腹筋運動
仰向けで両膝を立てた状態から、首を曲げておへそを覗き込むように軽く頭を起こします。10回×2セット[5]。腰に痛みが出る場合は、頭を起こす動きだけでもお腹に力が入るので、無理のない範囲で行いましょう。

有酸素運動も大切
少し息が上がる程度の負荷で10〜20分程度のウォーキングやエルゴメーターなどの有酸素運動を組み合わせることも、症状の緩和や歩行能力の改善に有用とされています[4]。実際に、体幹・下肢のストレッチや筋力トレーニング、有酸素運動、患者教育を組み合わせたプログラムを6週間継続したところ、腰や下肢の痛みが軽減し、歩ける距離が平均で約300m改善したという報告もあります[4]。
💡 ポイント:神経可塑性を活用したアプローチ
近年では、バランスボードを使ったトレーニングや片脚立ち運動など、脳や神経の働きを活性化させる「神経可塑性」を意識したエクササイズも注目されています[6]。プランクやスクワットなど体幹・バランスを強化する運動も併用すると、より効果的とされています[6]。転倒のリスクがある場合は、必ず安全な環境(手すりのそばなど)で行ってください。
Q&A:よくある質問
Q1. サポーター(コルセット)はつけたほうがいいですか?
A. サポーターは腰の反りを抑え、症状が出やすい姿勢を防ぐ目的で使われることがあります[7]。ただし、サポーターは痛みの原因そのものを取り除くものではなく、運動療法など他のアプローチと組み合わせて使うことが大切です[7]。長時間の着用は腹筋や背筋の筋力低下につながる可能性もあるため、使用方法については担当のリハビリスタッフや医師に相談しましょう。
Q2. 運動するとしびれが強くなることがあります。続けても大丈夫ですか?
A. 運動中や運動後に症状が強くなる場合、その動作が脊柱管をさらに狭める姿勢になっている可能性があります。特に腰を反らせる動きには注意が必要です[2]。痛みやしびれが強く出る運動は中止し、無理のない範囲・回数から始めることが基本です。症状が続く、または悪化する場合は自己判断で続けず、必ず医療機関に相談してください。
まとめ
- 脊柱管狭窄症は加齢により神経の通り道が狭くなり、足のしびれや痛みを引き起こす疾患です
- 「歩く→休む→また歩ける」という間欠性跛行が特徴的なサインです
- 前かがみで症状が楽になり、腰を反らせると悪化しやすい傾向があります
- 多くの方は運動療法を中心とした保存療法で症状の改善が期待できます
- 体幹トレーニングや有酸素運動、サポーターの活用なども含め、専門家と相談しながら自分に合った方法を見つけることが大切です
「歩くとしびれる」という症状は、決して珍しいものではありません。しかし放置してしまうと生活の質が大きく下がってしまうこともあります[2]。気になる症状がある方は、ぜひ一度専門医に相談し、ご自身に合ったリハビリを見つけていただければと思います。
おすすめアイテム
🛒 日本シグマックス マックスベルト me(腰部サポーター)
脊柱管狭窄症の方向けに、腰の反りを抑えて症状が出やすい姿勢をサポートする目的で使われる腰部固定帯です[7]。日本シグマックス製で、サイズ展開もあり体型に合わせて選びやすいのが特徴です。長時間歩く外出時や、症状が出やすい場面でのサポートとして活用できます。
🛒 バランス アクティブボード 木製 マット付き(体幹トレーニング用)
神経可塑性を活用したバランストレーニングに使える木製のバランスボードです[6]。マット付きで在宅でも使いやすく、体幹トレーニングのほか、足踏み運動や腹筋への刺激にも活用できます。安全な環境(手すり付近など)で、無理のない範囲から始めましょう。
🛒 ルームランナー MAX16km/h アプリ連携対応(家庭用ウォーキングマシン)
天候を気にせず有酸素運動を取り入れたい方向けの家庭用ウォーキング・ランニングマシンです。静音設計・折り畳み対応で省スペースに置けるタイプもあり、無理のない速度から有酸素運動を始めやすいのが特徴です。前かがみで使いやすいハンドル付きタイプを選ぶと、症状が出にくい姿勢で運動を続けやすくなります。
免責事項
本記事は、理学療法士としての臨床経験および公開されている文献情報をもとに、一般的な健康情報として作成したものです。個別の症状の診断や治療方針を示すものではありません。記事内容を実践する際は、必ずかかりつけの医師・専門家にご相談のうえ、自己の状態に応じて無理のない範囲で行ってください。本記事の情報を用いたことによるいかなる結果についても、当ブログは責任を負いかねます。
参考文献
- 日本整形外科学会・日本脊椎脊髄病学会監修:腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021(改訂第2版)、南江堂、2021年
- 脊柱管狭窄症患者さん向け診療ガイドライン(lowbackpain.jp)
- 腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021における保存療法の推奨について(spr-cl.jp)
- 腰部脊柱管狭窄症のリハビリで知っておくべき方法(avic-physio.com、2024年)
- 城内病院リハビリ部:腰部脊柱管狭窄症のリハビリテーションにおける運動療法
- 2025年版ガイドラインに基づく腰部脊柱管狭窄症のリハビリ方法(由風BIOメディカル株式会社、2025年)
- 脊柱管狭窄症を軽減するサポーターの選び方(健寿の森整体院)


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