👤 この記事を書いた人
とっち|理学療法士(PT)/回復期リハ病院勤務18年目
🏥 脳卒中認定理学療法士 🫁 3学会合同呼吸療法認定士
📝 学会発表・論文投稿経験あり|ブログ:リハビリと身体のケアラボ
退院支援カンファレンスや在宅復帰支援に多数携わってきた経験をもとに、介護保険サービスについてわかりやすく解説します。
📝 これを書こうと思ったきっかけ
去年の秋口、退院前カンファレンスのあとに患者さんのご家族から電話が来たんです。「先生、退院後って何を使えばいいんですか?ケアマネさんがいろいろ説明してくれたんですけど、種類が多すぎて……」って。
その方のお父さん、74歳で脳梗塞後の片麻痺。FIM(機能的自立度評価)が退院時点で88点。数字だけ見ると「まあまあ自立」に見えるんですけど、実際には段差の多い自宅環境でどこまで動けるかが不透明で、家族の不安は相当なものでした。
正直に言うと、私もその電話を受けながら「あ、これちゃんと説明できてなかったな」って反省したんですよね。訪問リハと訪問介護、通所リハと通所介護——名前が似すぎてて、18年やってる私でも最初は混乱しましたから。
だから今回は、あの電話口のご家族のような方に向けて、できるだけ現場目線で整理してみました。
「介護保険が使えると聞いたけど、どんなサービスがあるの?」「訪問とデイサービス、どちらが合っているの?」——親の介護が急に始まると、こういった疑問が次々と浮かんでくるものです。
実は、介護保険で使えるサービスは大きく3つのカテゴリーに分かれており、訪問系・通所系・入所系(施設系)それぞれに特色があります。サービスの種類を正しく知ることで、「その人らしい生活」を支える最適な組み合わせが見つかります。
この記事では、回復期リハ病院で18年間、退院後の在宅生活支援に携わってきた理学療法士の視点から、介護保険で使えるサービスを網羅的に解説します。選び方のポイントも具体的にお伝えしますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
📋 この記事でわかること
- 介護保険サービスの3つの大分類(居宅・施設・地域密着型)
- 訪問系・通所系・入所系の全サービスの内容と特徴
- 状況別サービスの選び方・組み合わせ方
- 理学療法士視点でのリハビリ系サービス活用術
📑 目次
- 介護保険サービスの3つの大分類とは?
- 訪問系サービス一覧|自宅に専門家が来てくれる
- 通所系サービス一覧|施設に通って受けるケア
- 入所系サービス(ショートステイ・施設)一覧
- 地域密着型サービスとは?
- リハビリ目的なら?理学療法士が教える選び方
- 状況別!サービスの選び方・組み合わせガイド
- Q&A:よくある疑問に答えます
- まとめ
1|介護保険サービスの3つの大分類とは?
介護保険で受けられるサービスは、大きく以下の3種類に分類されます。

| 分類 | 概要 | 主な対象 |
|---|---|---|
| ①居宅サービス | 自宅で生活しながら受けるサービス(訪問・通所・ショートステイなど) | 要支援1〜要介護5 |
| ②施設サービス | 介護保険施設(特養・老健・介護医療院)への入所 | 原則 要介護1〜5(施設により異なる) |
| ③地域密着型サービス | 住み慣れた地域で暮らし続けるための小規模サービス | その市区町村に住む要介護者 |
「在宅で頑張りたい」場合は①居宅サービスを中心に、医療ニーズが高く24時間対応が必要になった場合は②施設サービスへ、地域のコミュニティの中で少人数ケアを受けたい場合は③地域密着型が選択肢になります。
💡 ポイント:居宅サービスには「在宅にいる人向け」というイメージがありますが、実際には有料老人ホームや軽費老人ホームの居室に住む人も対象です。「生活の拠点」がどこかで判断されます。
2|訪問系サービス一覧|自宅に専門家が来てくれる
訪問系サービスとは、介護職員・看護師・リハビリ専門職などが利用者の自宅を直接訪問して提供するサービスです。「施設に通えない」「外出が難しい」方に特に適しています。
① 訪問介護(ホームヘルプサービス)
ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事・入浴・排泄などの「身体介護」と、掃除・洗濯・調理などの「生活援助」を行います。介護保険の中でも最も利用者数が多いサービスのひとつです。
- 対象:要介護1〜5(要支援は総合事業の訪問型サービスへ)
- 頻度:週1〜複数回、1回30分〜1時間程度が多い
② 訪問入浴介護
浴槽を積んだ専用車が自宅を訪問し、看護師と介護士がチームで入浴介助を行うサービスです。自宅の浴室が使えない方や、重度の要介護状態の方に適しています。
③ 訪問看護
看護師や保健師が自宅を訪問し、病状観察・点滴・傷の処置・服薬管理などの医療的ケアを行います。医師の指示が必要で、医療保険と介護保険どちらからも利用できます(状態により適用保険が変わります)。
④ 訪問リハビリテーション
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)が自宅を訪問し、心身機能の維持・回復を目的としたリハビリを行います。退院後の機能回復や、在宅での日常動作の練習に非常に効果的です。
- 対象:要介護1〜5(医師の指示が必要)
- 内容例:歩行練習、関節可動域訓練、日常生活動作(ADL)訓練、住環境調整の助言
🏥 現場エピソード:私が担当した脳卒中後の患者さんは、退院後に訪問リハビリを利用することで、自宅のトイレ動作の練習ができ、「家族に頼らず一人でトイレに行けるようになった」と話してくださいました。住環境を実際に見ながらリハビリできることが、訪問リハビリの最大の強みです。
⑤ 居宅療養管理指導
医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士などが自宅を訪問し、療養上の管理や指導・助言を行うサービスです。薬の飲み合わせ指導や栄養管理など、医療的な相談に対応してもらえます。
| サービス名 | 提供者 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 訪問介護 | ホームヘルパー | 身体介護・生活援助 |
| 訪問入浴介護 | 看護師+介護士 | 専用浴槽での入浴介助 |
| 訪問看護 | 看護師・保健師 | 医療的処置・病状管理 |
| 訪問リハビリ | PT・OT・ST | 機能訓練・ADL練習 |
| 居宅療養管理指導 | 医師・薬剤師・栄養士など | 療養上の管理・指導 |
3|通所系サービス一覧|施設に通って受けるケア
通所系サービスとは、利用者が日中に施設へ通ってサービスを受ける形式です。「閉じこもり予防」「家族の介護負担軽減」「リハビリの継続」などの目的で利用されます。
① 通所介護(デイサービス)
施設に通い、入浴・食事・レクリエーション・機能訓練などを日中に受けるサービスです。社会参加の場としても機能しており、利用者が生き生きと過ごせる環境が整っています。
- 対象:要介護1〜5
- 利用時間:半日(3〜4時間)〜1日(6〜8時間)タイプがある
- 特徴:専門的なリハビリというよりも、生活の継続を支援する場
② 通所リハビリテーション(デイケア)
医師の管理のもと、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による本格的なリハビリが受けられる通所施設です。老健や病院・診療所に併設されていることが多く、機能回復・維持を重視する方に適しています。
- 対象:要介護1〜5(要支援は介護予防通所リハビリ)
- 内容例:個別リハビリ・集団体操・マシントレーニング・口腔機能訓練
- 特徴:医師が在籍しており医療的な観点からのアプローチが可能
🔍 デイサービスとデイケアの違いは?
デイサービス(通所介護)=生活支援・レクリエーション中心。医師の常駐は不要。
デイケア(通所リハビリ)=リハビリ中心。医師が在籍していることが条件。機能回復を目指したい方はデイケアが適しています。
4|入所系サービス一覧|ショートステイから施設入所まで
■ 短期入所サービス(ショートステイ)
短期入所生活介護(ショートステイ)とは、在宅で生活する要介護者が、施設に1泊〜数週間程度の短期間入所し、介護や看護を受けるサービスです。家族の冠婚葬祭・急用・旅行・介護疲れのリフレッシュ(レスパイトケア)などに活用されます。
また、短期入所療養介護は医療的ニーズが高い方向けで、老健や医療機関で提供されます。経管栄養・気管吸引などの医療処置が必要な方にも対応可能です。
| 種類 | 提供場所 | 医療対応 |
|---|---|---|
| 短期入所生活介護 | 特養など福祉施設 | △(基本的な看護のみ) |
| 短期入所療養介護 | 老健・医療機関 | ○(医療的処置も対応) |
■ 介護保険3施設(長期入所)
介護保険が適用される入所施設は現在3種類あります(2024年3月に「介護療養型医療施設」は廃止されました)。
| 施設名 | 入所対象 | 特徴 | 費用感 |
|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(特養) | 原則 要介護3以上 | 終の棲家として長期入所可。公的施設のため費用が比較的安い | 月額 約8〜14万円 |
| 介護老人保健施設(老健) | 要介護1以上 | 在宅復帰を目指す中間施設。医師・PT・OTが在籍しリハビリが充実 | 月額 約8〜13万円 |
| 介護医療院 | 要介護1以上(医療ニーズあり) | 長期療養+生活施設。経管栄養・痰吸引など医療的ケアに対応。2018年創設 | 月額 約10〜15万円 |
⚠️ 特養は待機者が多い:厚生労働省の調査(令和4年度)では特養の入居待機者が全国で約25万人に達しています。早めの申請・複数施設への申し込みが重要です。
5|地域密着型サービスとは?
地域密着型サービスは、2006年の介護保険改正で生まれた比較的新しいカテゴリーです。認知症の方や重度の要介護者が、住み慣れた地域で生活を続けられるよう支援することを目的としています。
市区町村が指定する事業者が提供するため、原則としてその市区町村に住んでいる人しか利用できません。小規模で顔なじみのスタッフによるきめ細かいケアが特徴です。
| サービス名 | 概要 |
|---|---|
| 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 24時間365日、定期巡回+随時対応。重度の要介護者向け |
| 小規模多機能型居宅介護 | 「通い」「訪問」「泊まり」を一体提供。同じスタッフが担当 |
| 認知症対応型通所介護 | 認知症の方専用のデイサービス。小規模で専門的なケアを提供 |
| 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 認知症の方が少人数で共同生活。家庭的な環境でケアを受ける |
| 地域密着型通所介護 | 定員18名以下の小規模デイサービス |
| 看護小規模多機能型居宅介護(看多機) | 小規模多機能+訪問看護を組み合わせた医療依存度が高い方向けサービス |
6|リハビリ目的なら?理学療法士が教える選び方
「退院後もリハビリを続けたい」という方は非常に多いです。目的に応じて以下のように使い分けることをお勧めします。
| 目的・状況 | おすすめサービス | 理由 |
|---|---|---|
| 自宅でのADL(日常動作)改善 | 訪問リハビリ | 実際の生活環境でリハビリできる |
| 本格的な機能回復・マシン使用 | 通所リハビリ(デイケア) | 設備が充実・医師の管理下でリハビリ |
| 社会参加も兼ねてリハビリしたい | 通所介護(機能訓練加算あり) | 同世代との交流もできる |
| 外出困難+医療ニーズあり | 訪問リハビリ+訪問看護の組み合わせ | 医療とリハビリを在宅で両立 |
🏥 PTからのアドバイス:「訪問リハビリ」と「デイケア」は同時に使えることも多いです(ケアプランで調整が必要)。週1回の訪問リハビリで住環境に合わせた個別練習を行いつつ、週2回のデイケアでマシン運動をする、という組み合わせを利用されている方もいます。ケアマネジャーに相談してみましょう。
7|忘れずに!福祉用具・住宅改修サービス
介護保険では、在宅生活を支える「モノ」の費用も一部カバーしてくれます。
福祉用具貸与(レンタル)
杖・歩行器・車椅子・特殊寝台(介護ベッド)・手すり(特定のもの)などを月額レンタル料の1〜3割負担で使用できます。
- ✅ 車椅子、特殊寝台(介護ベッド)と付属品
- ✅ 歩行器・歩行補助杖・松葉づえ
- ✅ スロープ・手すり(取り付け工事不要なもの)
- ✅ 床ずれ予防用具・体位変換器
特定福祉用具販売(購入)
入浴用椅子・シャワーチェア・ポータブルトイレ・排泄予測支援機器などはレンタルになじまないため「購入」の形で給付されます。年間10万円を上限に1〜3割負担で購入できます。
住宅改修費支給
手すりの取り付け・段差の解消・扉の引き戸化・浴室改修などの住宅改修費用を20万円まで補助(1〜3割の自己負担)してもらえます。事前に申請が必要で、ケアマネジャーや住宅改修業者と相談しながら進めます。
8|状況別!サービスの選び方ガイド
介護保険サービスの選択は、「本人がどう生活したいか」「家族がどこまでサポートできるか」「医療的ニーズがどの程度あるか」の3軸で考えると整理しやすくなります。
🏡 ケース別おすすめの組み合わせ
【ケース①】軽度(要支援〜要介護1)で自宅生活を続けたい
→ 通所介護(週1〜2回)+福祉用具レンタル(杖・手すり)が基本セット。週2回の外出機会が生活リズムを整えます。
【ケース②】脳卒中や骨折後でリハビリを重視したい
→ 訪問リハビリ+通所リハビリ(デイケア)の組み合わせが効果的。医師の指示のもとPT・OT・STが連携します。
【ケース③】家族が日中不在で独居が心配
→ 訪問介護(朝の服薬確認・食事準備)+通所介護(日中の見守り)を組み合わせると安心です。
【ケース④】認知症が進行して一人での在宅生活が難しい
→ グループホーム(地域密着型)への移行を検討。小規模で認知症専門ケアが受けられます。
【ケース⑤】医療的ケアが必要(喀痰吸引・経管栄養など)
→ 訪問看護+看護小規模多機能型居宅介護、または介護医療院・老健への入所を検討します。
💡 サービス選びの大原則:本人・家族だけで決めず、必ずケアマネジャー(介護支援専門員)に相談しましょう。要介護度ごとに使える限度額(区分支給限度額)が決まっており、ケアマネジャーがその範囲内で最適なケアプランを作成してくれます。
9|Q&A:よくある疑問に答えます
❓ Q1. 要支援と要介護でサービスの使い方は違いますか?
A. 違います。要支援1・2の場合、「介護予防サービス」または各市区町村が提供する「介護予防・日常生活支援総合事業」の対象となり、特養などの施設サービスは原則利用できません。要介護1〜5の場合はすべての居宅・施設・地域密着型サービスの利用が可能になります(ただし要介護度によって使える限度額が異なります)。
❓ Q2. サービスをいくつでも組み合わせて使えますか?
A. 基本的に複数のサービスを組み合わせて利用できますが、要介護度ごとに「区分支給限度額」が設定されており、その範囲内での利用となります(超過分は全額自己負担)。ケアマネジャーが限度額を考慮したうえでケアプランを作成しますので、希望をしっかり伝えることが大切です。
まとめ|介護保険サービス、まずはケアマネジャーへ相談を
✅ この記事のポイントまとめ
- 介護保険サービスは「居宅・施設・地域密着型」の3種類に大別される
- 訪問系(訪問介護・訪問看護・訪問リハビリなど)は在宅生活を支える基本サービス
- 通所系(デイサービス・デイケア)は社会参加・機能訓練・家族の負担軽減に有効
- 短期入所(ショートステイ)は「家族の休息(レスパイト)」として非常に重要
- 施設入所は「特養(終の棲家)」「老健(在宅復帰目的)」「介護医療院(医療依存高)」の3種
- リハビリ目的なら「訪問リハビリ」と「デイケア(通所リハビリ)」が核になる
- 福祉用具レンタル・住宅改修費補助も忘れずに活用する
- サービスの組み合わせはケアマネジャーに相談して最適なケアプランを作る
介護保険のサービスは多岐にわたりますが、すべてを一度に理解しようとする必要はありません。まずは「何に困っているか」「どんな生活を送りたいか」を整理することから始めましょう。
地域包括支援センターやケアマネジャーは、こうした相談を無料で受け付けてくれます。一人で悩まず、専門家の力を借りながら、最適なサービスを見つけていきましょう。
📖 参考文献・情報源
- 厚生労働省「介護保険サービス情報公表システム」サービスの解説(2024年)
- 厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1280」令和6年6月21日
- 厚生労働省「特別養護老人ホームの入所申込者の状況(令和4年度)」
- LIFULL介護「介護保険施設とは?種類・入所対象者・提供するサービスや費用を解説」
- 朝日生命「公的介護保険で利用できる介護サービスの種類まとめ」2024年
- 介護ワーカー「介護の居宅サービスとは?種類一覧とサービス内容を紹介」
- 学研ココファン「地域密着型サービスとは|各種類のサービスや対象者の特徴まで徹底解説!」2025年
【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の疾患に対する診断・治療・サービス選択を推奨するものではありません。介護保険のサービス利用については、担当ケアマネジャー・主治医・地域包括支援センターへご相談ください。記事の情報は執筆時点(2025年)のものです。制度は随時改正されるため、最新情報は厚生労働省や市区町村窓口でご確認ください。
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