この記事を書いた人
回復期リハビリテーション病院に18年間勤務する現役理学療法士。
脳卒中認定理学療法士・3学会合同呼吸療法認定士を取得し、学会発表・論文投稿の経験もあります。
現場での実体験をもとに、正確でわかりやすい情報をお届けします。
回復期リハビリ病棟で働く理学療法士の1日のスケジュール|18年目が語るリアルな仕事内容
「回復期のリハビリって、実際どんなことをしているの?」
「理学療法士の1日のスケジュールはどんな感じ?」
そんな疑問を持つ方に向けて、回復期リハビリ病棟で18年間働いてきた現役理学療法士が、リアルな1日の流れをお伝えします。
転職や就職を考えている療法士の方、入院中のご家族をお持ちの方の参考になれば幸いです。
🏥 回復期リハビリ病棟とは?
回復期リハビリ病棟は、急性期病院での治療が終わった後、自宅や施設への退院に向けてリハビリを集中的に行う病棟です。
脳卒中や骨折などを対象とし、全国平均の在院日数は約60日程度。この期間に集中してリハビリを行い、患者さんの日常生活動作(ADL:食事・トイレ・着替えなどの基本的な生活動作)を最大限に回復させることが目標です。
私が勤務するのはケアミックス病院(急性期・回復期・慢性期が混在する病院)の回復期病棟で、専従的に回復期を担当しています。
⏰ 理学療法士の1日のスケジュール【回復期・実例】
📋 1日のおおまかな流れ
8:30 朝のカンファレンス
9:00〜16:00 リハビリ(18単位)
16:00〜 書類業務・カンファ・勉強会
8:30 始業・朝のカンファレンス
出勤後すぐに、病棟の多職種カンファレンスに参加します。
医師・看護師・理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)・医療ソーシャルワーカー(MSW)が集まり、患者さんの状態や退院に向けての方針を共有します。
回復期の大きな特徴はチーム医療の密度の高さです。「昨夜〇〇さんが転倒しかけた」「退院日が〇日に決まった」など、リハビリに影響する情報をここで把握し、その日の臨床に活かします。
9:00〜16:00 リハビリ(臨床業務)
1日に担当するのは18単位(1単位=20分)。1人の患者さんに対して1日3単位(60分)が基本で、1日に約6名を担当します。
| 疾患 | 担当職種 |
|---|---|
| 運動器(骨折など) | PT・OT |
| 脳血管(脳卒中など) | PT・OT・ST |
リハビリの内容は歩行練習・移乗動作・ADLの訓練が中心です。「トイレに1人で行けるようになる」「自宅の段差を越えられるようになる」といった具体的なゴールに向けて、毎日少しずつ積み上げていきます。
16:00〜 書類業務・カンファ・勉強会
臨床が終わった後は以下のような業務を行います。
- 📝 カルテ記載:その日のリハビリ内容・患者さんの状態を記録
- 📄 リハビリ計画書の作成:定期的に患者さん・家族へ説明する書類
- 🏠 自主トレーニング指導書の作成:患者さんが自主的に取り組める運動プログラム
また月に数回は勉強会があります。最近は働き方改革の流れもあり、16時以降の勤務時間内に開催されるケースが増えています。
👥 回復期で働く理学療法士の特徴【環境・雰囲気】
スタッフ構成と雰囲気
回復期病棟には療法士が20〜30人規模在籍していることが多く、若手スタッフが多いのが特徴です。活気があって明るい雰囲気で、チームの連携が取りやすい環境です。
また回復期は365日対応が基本のため、土日祝日もリハビリが提供されます。シフト制での不定休となりますが、患者さんのリハビリが毎日途切れない体制を維持しています。
やりがいと魅力
18年間この仕事を続けてきて感じる回復期の最大の魅力は、患者さんのゴールが明確であることです。
急性期は命を救うフェーズ、維持期は現状を保つフェーズ。それに対して回復期は「この患者さんを〇〇できる状態にして自宅に帰す」という明確な目標があります。
「先週は車椅子だった患者さんが、今日は歩いてトイレに行けた」——そういう瞬間が、この仕事を続けられる原動力です。
🏡 退院支援もリハビリの一部|現場での体験談
家族と本人の「目標のズレ」に向き合う
18年間働いてきて、特に印象に残っているのが家族と患者さん本人の目標がずれているケースです。
家族は「施設に入ってほしい」、本人は「絶対に家に帰りたい」——こうした場面は決して珍しくありません。
💬 実際にあったケース
入院から3週間が経ったころのことです。
脳卒中後遺症で左半身に麻痺が残る患者さんを担当していました。
正直、最初は在宅復帰は難しいと思っていました。
FIMが38点、10m歩行は介助なしでは不可能な状態でした。
ご家族は施設入所を強く希望されていて、
「もう家には帰れないですよね」と最初のカンファレンスで言われました。
でも本人は違いました。
「絶対に家に帰りたい。孫の顔を家で見たい」と、毎回リハビリのたびに話してくれました。
悩んだ末にアプローチを変え、病棟での自主トレも強化しました。
退院前にはFIMが72点まで改善し、10m歩行も見守りで可能になりました。
カンファレンスを重ね、実際にリハビリの場面を家族に何度も見てもらった結果、
「家で見てみます」と言葉が変わった瞬間は、今でも覚えています。
退院の日、ご家族全員が迎えに来てくれました。
リハビリの専門家として「この人は帰れる」という見立てを持ち、それを根拠とともに家族に伝え続けることも、回復期の理学療法士の大切な役割だと感じています。
退院前自宅訪問
実際に患者さんのご自宅に伺い、段差や生活動線を確認して環境整備の提案を行います。病院内では気づけなかった課題が自宅訪問で見つかることも多く、重要な業務の一つです。
自主トレーニング指導
退院後も継続できる運動プログラムを作成・指導します。リハビリは退院で終わりではなく、自宅でも続けられる仕組みを作ることが大切です。
「退院がゴール」ではなく、「退院後の生活をどう支えるか」が本当のゴール——18年間働いてきて、改めてそう感じています。
❓ よくある質問(Q&A)
Q. 回復期リハビリ病棟には、どのくらいの期間入院できますか?
A. 疾患によって上限が異なりますが、全国平均では約60日程度です。脳卒中の場合は最大150日、骨折の場合は最大90日など、対象疾患ごとに目安となる期間が定められています。詳しくは入院先の医療機関にご確認ください。
Q. 家族が「家には帰せない」と思っていても、自宅退院できることはありますか?
A. 可能性はあります。リハビリの進み方や本人の生活動作の状況によって、当初の想定よりも自立度が上がるケースは少なくありません。気になる場合は、担当の理学療法士やケアマネジャーに、リハビリの様子を実際に見せてもらいながら相談してみることをおすすめします。
🔍 回復期リハビリ病棟への転職を考えている療法士へ
回復期は、急性期とは異なり「ゆっくり丁寧に患者さんと向き合える」環境です。一方で、
- 書類業務が多い
- 365日対応のためシフトが不定休
- 多職種との連携スキルが求められる
という側面もあります。「患者さんの回復に長期間関わりたい」「多職種連携を深めたい」「退院支援まで一貫して携わりたい」という方には、とても向いている職場だと思います。
📚 もっと深く知りたい方へ|おすすめの一冊
今回の記事で紹介した「回復期リハビリの考え方」をもっと深く知りたい方、理学療法士を目指す学生さんや若手セラピストの方には、以下のような書籍もおすすめです。
📖 理学療法プログラムデザイン(部位別シリーズ)
肩関節・股関節・膝関節・足部・脊柱・脳卒中など、部位ごとに評価・解釈・治療アプローチがまとめられたシリーズです。回復期で扱う症例の幅広さに対応できるため、現場で「この患者さんにはどう介入すべきか」と迷ったときの参考書として活用しています。
📖 アナトミー・トレイン(筋膜のつながりを学ぶ一冊)
身体を「筋膜のつながり」という視点で捉え直せる一冊で、姿勢や動作の評価に新しい視点をくれます。回復期のADL訓練でも、一部位だけでなく全身のつながりを意識することで、より効果的なアプローチにつながると感じています。
※上記は筆者が臨床で参考にしている書籍の例です。purchaseの際はレビューや内容紹介を確認のうえ、ご自身の学習段階に合ったものをお選びください。
📝 まとめ
回復期リハビリ病棟の理学療法士の1日は、カンファレンスから始まり、18単位の臨床、書類業務、退院支援まで多岐にわたります。
単に身体機能を回復させるだけでなく、患者さんが「その人らしい生活」を取り戻すための伴走者として働けるのが、回復期リハビリの魅力です。
このブログでは今後も、回復期のリアルや理学療法士の働き方、健康に関する情報を発信していきます。
※本記事は筆者の臨床経験に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の医療行為や治療方針を断定するものではありません。回復の見込みや退院先の判断は、患者さん一人ひとりの状態によって異なります。気になる症状や生活上の不安がある場合は、必ず医療機関や担当のリハビリスタッフにご相談ください。



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