プロテインは本当に必要?理学療法士が教える摂取量とタイミング

セルフケア・リハビリ

👤 この記事を書いた人:とっち

回復期リハビリテーション病院に勤務する理学療法士(経験18年目)。
脳卒中専門理学療法士、3学会合同呼吸療法認定士の資格を保有。学会発表・論文投稿の経験もあり、エビデンスに基づいたリハビリ・健康情報を発信しています。
ブログ「リハビリと身体のケアラボ」運営中。

プロテインは必要か?理学療法士の視点で解説

「プロテインって、筋トレしている人だけのものでしょう?」「お年寄りが飲んでも意味があるの?」
回復期リハビリ病院で働いていると、患者さんやご家族からこうした質問をよく受けます。今回は、筋トレシリーズの番外編として、プロテイン(タンパク質補給)が本当に必要なのかを、理学療法士の視点とエビデンスをもとに解説します。

💡 現場エピソード
以前担当した80代の女性患者さんは、大腿骨近位部骨折の手術後、食欲低下が続き、食事摂取量は必要量の半分程度にとどまっていました。リハビリには意欲的で、下肢の筋力訓練や歩行練習にもしっかり参加されていましたが、5回立ち上がりテストは22秒前後で停滞し、思うように筋力が改善しませんでした。
当初は「年齢の影響もあるのだろうか」と考えていましたが、管理栄養士と相談したところ、タンパク質摂取量が不足していることが分かりました。そこで食事内容の見直しに加え、リハビリ後にプロテインを補助的に摂取していただくようにしました。
すると3〜4週間後には、5回立ち上がりテストが22秒から16秒まで改善し、ご本人からも「最近は立ち上がるのが楽になった」「前より足に力が入る感じがする」といった言葉が聞かれるようになりました。
この経験以来、私は筋力向上が思うように進まない患者さんを担当した際、運動量だけでなく食事摂取量やタンパク質摂取状況も必ず確認するようにしています。筋トレだけでは筋肉は作れません。筋肉の材料となる栄養があってこそ、トレーニングの効果は発揮されるのだと改めて実感した症例でした。

🔬 なぜ筋肉づくりに「タンパク質」が重要なのか

筋トレをすると筋肉に微細な損傷が起こり、それを修復・強化する過程で筋肉は大きく・強くなります。この「筋タンパク合成」という修復プロセスには、材料となるタンパク質(アミノ酸)が不可欠です。

体内では、タンパク質の摂取と運動の刺激が組み合わさることで、筋肉を作る指令を出す経路(mTORC1経路)が活発になります(文献1)。特に、肉・魚・乳製品に含まれる必須アミノ酸の一種「ロイシン」を多く含むタンパク質は、この経路を強く刺激することが分かっています。

高齢になるほど「同化抵抗性」に注意

ここで知っておいていただきたいのが「同化抵抗性(アナボリックレジスタンス)」という現象です。これは、同じ量のタンパク質を摂っても、若い人に比べて高齢者の筋肉が反応しにくくなる状態を指します(文献1)。

そのため、高齢になるほど、若い頃と同じ食事内容では筋肉維持に必要なタンパク質が不足しやすくなる、という点に注意が必要です。

📊 どのくらいのタンパク質が必要?

研究で示されている目安量を表にまとめました。

対象 1食あたりの目安 1日あたりの目安(上限)
若年〜中年成人 体重1kgあたり約0.25g 体重1kgあたり約1.6g/日
高齢者 体重1kgあたり約0.40g 体重1kgあたり約1.6g/日

※体重60kgの方なら、1食あたり約24g(高齢者の場合)が目安です。これは鶏むね肉約100g、もしくは卵3〜4個程度に相当します(文献1)。1日の総量として1.6g/kg/dayを超えても、それ以上の効果の上乗せは乏しいとされています。

✅ プロテイン(サプリメント)が向いているケース

「タンパク質は食事から摂るのが基本」という大前提は変わりません。しかし、以下のような場合には、プロテイン製品が現実的な選択肢になります。

  • 食欲が落ちて、肉や魚をしっかり食べられない
  • 術後・入院中で食事量が普段より少ない
  • 運動直後に手軽にタンパク質を補いたい
  • 調理が難しく、食事内容が炭水化物中心になりやすい

特に低栄養は、術後の回復やリハビリの転帰を悪化させる「予防可能なリスク因子」とされています(文献2)。レジスタンス運動と栄養補充(特にタンパク質)を組み合わせることが、サルコペニアやフレイルへの対応として最も良好な結果につながるとされています(文献3)。

⚠️ プロテイン選び・摂取の注意点

・腎機能に問題がある方は、タンパク質摂取量について必ず主治医に相談してください
・牛乳由来のホエイ・カゼインは、乳製品アレルギーの方は避け、ソイ(大豆)プロテインなどを検討してください
・プロテインだけに頼らず、食事全体のバランスを基本に考えましょう
・持病で食事制限がある場合(糖尿病・腎疾患など)は、栄養士・医師に相談のうえで取り入れてください

❓ よくある質問(Q&A)

Q1. プロテインは運動していない人でも飲んでいいの?

A. はい、問題ありません。特に食事量が少ない方や高齢の方は、運動の有無に関わらず、タンパク質補給の手段として活用できます。ただし、摂取量が極端に多くなりすぎないよう、1日の総量には注意しましょう。

Q2. いつ飲むのが効果的?

A. 運動後はもちろんですが、食事だけでは不足しがちな朝食時に取り入れるのもおすすめです。1日のタンパク質摂取を数回の食事に分けて摂ることが、効率的な筋タンパク合成につながると考えられています。

🛒 こんな商品も選択肢として

食事だけでタンパク質量を満たすのが難しい場合、以下のような製品が候補になります(成分・価格・在庫は各販売サイトでご確認ください)。

① ベリフィスト Verifyst ホエイプロテイン 3kg(大容量)

ホエイ100%・アミノ酸スコア100の大容量タイプ。吸収が早く、運動後や朝食時の補給に向いています。コストパフォーマンスを重視したい方におすすめです。

② エンジョイプロテイン 700g(森永乳業クリニコ)

無味無臭で料理にも溶け込みやすく、高齢者・介護の現場でも使いやすい栄養補助食品タイプ。BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)配合で、食欲が落ちている方にもおすすめです。

③ ザバス ソイプロテイン100 カフェラテ風味(明治・ふるさと納税)

大豆由来の植物性タンパク質で、乳製品が苦手な方にも。カフェラテ風味で続けやすく、容量も選べるタイプです。

📝 まとめ

  • 筋肉の修復・強化には、運動だけでなくタンパク質という「材料」が欠かせない
  • 高齢になるほど「同化抵抗性」により、より多くのタンパク質が必要になりやすい
  • 基本は食事から。プロテインは食事で不足する分を補う「手段の一つ」
  • 腎疾患など持病がある方は、必ず医師・栄養士に相談してから取り入れる

「プロテインが絶対に必要」というわけではありませんが、食事だけで十分な量を摂れていない方にとっては、有効な選択肢の一つです。ご自身の食事内容を振り返りながら、必要に応じて取り入れてみてください。

📚 参考文献

  1. Roberts MD et al. Mechanisms of Mechanical Overload-Induced Skeletal Muscle Hypertrophy. Physiol Rev 2023;103:2679-2757.
  2. Springer NMA et al. Malnutrition and perioperative nutritional rehabilitation. Eur Surg 2025.
  3. Tohyama M et al. Nutritional Care and Rehabilitation for Frailty, Sarcopenia, and Malnutrition. Nutrients 2023;15:4908.

免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の症状や疾患の診断・治療を目的とするものではありません。記事内容に基づいた行動により生じた結果について、当ブログは責任を負いかねます。健康状態に不安がある方、持病をお持ちの方は、自己判断せず医療機関・専門家にご相談ください。

 

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