トレーニングチューブの効果と使い方|理学療法士が教える正しい選び方とトレーニング法

セルフケア・リハビリ

この記事を書いた人:とっち

回復期リハビリテーション病院に勤務する理学療法士(経験18年目)。
脳卒中専門理学療法士、三学会合同呼吸療法認定士の資格を保有。
学会発表・論文投稿の経験もあり、現場での臨床経験をもとに根拠に基づいたリハビリ・健康情報を発信しています。

トレーニングチューブの効果と使い方|理学療法士が教える正しい選び方とトレーニング法

こんにちは、理学療法士の「とっち」です。回復期リハビリテーション病院で働いていると、患者さんから「家でもできる筋トレってありますか?」と聞かれることがとても多いです。そんなときに私がよくおすすめしているのが「トレーニングチューブ」です。

実は私自身、病棟のリハビリ室でセラバンドを使って患者さんの下肢筋力トレーニングを行うことが日常的にあります。先日も、変形性膝関節症で入院されていた70代の女性に、軽い負荷のチューブを使った大腿四頭筋トレーニングを指導したところ、「ダンベルより楽だし、家でも続けられそう」と言っていただけました。実際、退院後も自宅で継続できているようで、外来でお会いした際には歩行が安定していて驚きました。チューブは「軽くて扱いやすい」「関節への負担が少ない」という特徴があるため、特に運動初心者や高齢の方には非常に取り入れやすい筋トレ用品なのです。

この記事では、トレーニングチューブを使うメリットや科学的な効果、安全な使い方、選び方のポイントについて、理学療法士の視点から分かりやすく解説していきます。

📋 この記事でわかること

  • トレーニングチューブで筋肉がつくメカニズム
  • ダンベルやマシンと比べたメリット・デメリット
  • 部位別の基本トレーニング方法
  • 安全に効果を出すためのポイント
  • 自分に合ったチューブの選び方

1|トレーニングチューブで筋肉がつく仕組み

「ゴムを伸ばすだけで本当に筋肉がつくの?」と疑問に思う方も多いでしょう。結論から言うと、正しく使えばしっかり筋肉に効きます。

筋肉が大きくなる(筋肥大する)ためには、主に3つの刺激が重要だとされています[1]

刺激の種類 内容
機械的張力 筋肉が引き伸ばされながら力を発揮すること。最も重要な要素
代謝ストレス トレーニング中に乳酸などの代謝物が筋肉に溜まることによる変化
筋損傷 筋肉が伸びながら力を出す動き(伸張性収縮)で生じる微細な損傷

ポイントは、これらの刺激は「ダンベルなどの重い器具でなければ得られない」というわけではないということです。重要なのは絶対的な重さではなく「どれだけ筋肉に負荷がかかり、努力したか」という点だと考えられています[2]

💡 ポイント:トレーニングチューブは持ち方や引っ張る長さを変えることで負荷を調整できるため、「十分にきつい」と感じるところまで追い込めば、ダンベルと同じように筋肉への刺激を与えることができます。

2|トレーニングチューブのメリット・デメリット

メリット

  • 関節への負担が少ない:急に重い負荷がかかりにくく、膝や腰に不安がある方でも取り入れやすい
  • 持ち方で負荷調整が可能:チューブを短く持てば負荷アップ、長く持てば負荷ダウンと、その日の体調に合わせやすい
  • 多方向の動きに対応:ダンベルは重力方向(上下)の負荷が中心ですが、チューブは横方向・斜め方向にも負荷をかけられる
  • 収納・携帯性:軽くて場所を取らないため、自宅はもちろん旅行先や出張先でも継続できる
  • 価格が手頃:ダンベルセットやトレーニングマシンに比べてコストが低い

デメリット・注意点

  • 負荷の正確な数値化が難しい:「何kg相当か」が分かりにくく、漸進性過負荷(徐々に負荷を上げること)の管理がしにくい
  • 劣化・破損のリスク:ゴム製品のため経年劣化があり、切れて顔などに当たると危険
  • 非常に大きな負荷をかけるのは難しい:本格的に筋力向上を目指す上級者には、いずれダンベルやマシンとの併用が必要になることもある

実際、筋肥大に関する効果については、十分な負荷強度であれば高負荷でも低負荷でも同等の効果が得られるという報告があります[3]。低負荷であっても「ややきつい」と感じるところまで繰り返すことが、効果を引き出す鍵になります。

3|部位別おすすめトレーニング3選

ここでは、リハビリ現場でもよく行う、自宅で実践しやすいチューブトレーニングをご紹介します。

① お尻・太もも(スクワット+チューブ)

やり方

①チューブを両膝の少し上に巻く
②足を肩幅程度に開き、膝が内側に入らないように注意しながらスクワットを行う
③10〜15回×2〜3セットを目安に

お尻の筋肉(殿筋群)と太もも前面の筋肉(大腿四頭筋)に効きます。立ち上がり動作や歩行に直結する筋肉のため、転倒予防の観点からも重要です。

② 背中(チューブローイング)

やり方

①椅子に座り、チューブを両足の裏に引っ掛ける
②両手でチューブを持ち、肘を後方に引くようにして肩甲骨を寄せる
③ゆっくり戻す動作を10〜15回×2〜3セット

背中が丸まりやすい方や、姿勢改善を目指したい方におすすめです。引く動作はデスクワークの多い方にも有効です。

③ 肩・上腕(サイドレイズ)

やり方

①チューブの中央を片足で踏む
②両手で端を持ち、腕を体の横からゆっくり持ち上げる
③肩の高さまで上げたらゆっくり下ろす。10回×2セット程度

肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)の予防やリハビリにも使われる動作ですが、痛みがある場合は無理せず可動範囲を狭めて行いましょう。

⚠️ 注意:力を入れる際に呼吸を止めないようにしましょう。息を止めて行うと血圧が急激に上昇する可能性があるため、「1、2、3、4」と数えながら行うのがおすすめです[4]

4|効果を出すための頻度・回数の目安

項目 目安
頻度 週2〜3回
回数 10〜15回程度を1セット
セット数 2〜3セット
負荷の目安 最後の2〜3回が「ややきつい」と感じる強度

高齢の方であっても、適切な負荷でレジスタンストレーニングを継続することで、握力や歩行速度、立ち上がり能力などの身体機能が改善することが報告されています[5]。「ゴム1本」と侮らず、継続することが何より大切です。

5|チューブの選び方

トレーニングチューブには「ソフト」「ミディアム」「ハード」など、負荷強度の異なる種類があります。

  • 運動初心者・高齢者:ソフト〜ミディアムから始めるのが安心です
  • 女性:ミディアム〜ハードが目安とされています
  • 男性・筋トレ経験者:ハード〜エクストラハード

強度の異なるチューブがセットになった商品を選ぶと、筋力の向上に合わせて使い分けができるため、長く活用できておすすめです。素材は天然ゴム製のものが伸縮性に優れていますが、ラテックスアレルギーがある方はTPE(熱可塑性エラストマー)素材のものを選ぶとよいでしょう。

💬 よくある質問(Q&A)

Q1. チューブはどのくらいで買い替えるべきですか?

A. ゴム製品のため、使用頻度や保管状況によって劣化が進みます。表面にひび割れや白っぽい変色が見られたら交換のタイミングです。安全のため、使用前には毎回ひびや傷がないか確認する習慣をつけましょう。

Q2. 膝や腰に痛みがあっても使っていいですか?

A. 軽い負荷から始めれば取り入れやすい運動ですが、痛みが強い場合や、動かすことで痛みが悪化する場合は無理に行わないでください。基礎疾患がある方や痛みが続く場合は、自己判断で続けず、医療機関やかかりつけの医師、理学療法士に相談することをおすすめします。

まとめ

  • トレーニングチューブは負荷の大きさよりも「努力量」が筋肉への刺激につながるため、自重感覚で十分に効果が期待できる
  • 関節への負担が少なく、初心者・高齢者にも取り入れやすい
  • 持ち方・引っ張る長さで負荷調整ができ、体調に合わせやすい
  • 週2〜3回、10〜15回×2〜3セットを目安に「ややきつい」と感じる強度で行う
  • 呼吸を止めない、劣化チェックを忘れないなど安全面にも配慮する

トレーニングチューブは、リハビリの現場でも長年使われてきた、信頼性の高いトレーニングツールです。今日から、ご自身の体力や体調に合わせて、無理のない範囲で取り入れてみてはいかがでしょうか。

🛒 この記事で紹介したトレーニングチューブ

実際に選ぶ際の参考に、定番品から携帯しやすいものまでタイプ別にご紹介します。

①セラバンド(TheraBand) 1m セット

医療・リハビリ現場でも長年使われている定番ブランド。強度(カラー)が選べるため、これからチューブトレーニングを始める方の最初の1本としておすすめです。

②D&M(ディーアンドエム) セラバンド ドアアンカー+セラハンドルセット DA-70・DA-90

ドアに固定できるアンカーとハンドルがセットになったタイプ。本記事で紹介した「チューブローイング」など、ドアを支点にした引く動作のトレーニングがやりやすくなります。手にしっかりフィットするハンドル付きで、握力が弱い方でも扱いやすいのが特徴です。

③Sozilifty Figure 8 レジスタンスバンド(8の字型)

8の字型でハンドル部分が握りやすく、肩・腕・脚など複数部位のトレーニングに対応できるタイプ。コンパクトに収納できるため、自宅だけでなく旅行先や出張先でも継続したい方に向いています。

参考文献

  1. Roberts MD et al. Mechanisms of Mechanical Overload-Induced Skeletal Muscle Hypertrophy. Physiol Rev 2023;103:2679-2757.
  2. Wolf M et al. Optimizing Resistance Training Technique for Hypertrophy. J Funct Morphol Kinesiol 2024;9(1):9.
  3. Bernardez-Vazquez R et al. Resistance Training Variables for Optimization of Muscle Hypertrophy: An Umbrella Review. Front Sport 2022.
  4. 健康長寿ネット「高齢者のチューブトレーニングの効果と方法」
  5. Zhou Y et al. Resistance training in older women with sarcopenia. Front Public Health 2026.

※本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、個別の診断・治療を行うものではありません。持病がある方、痛みが続く方、体調に不安がある方は、自己判断で実施せず、必ず医療機関や専門家にご相談ください。

 

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