✍️ この記事を書いた人
とっち|理学療法士
回復期リハビリテーション病院 勤務18年目 / 🧠 脳卒中認定理学療法士 / 🫁 3学会合同呼吸療法認定士
学会発表5回・論文投稿2回の経験を持つ。地域の健康教室でフレイル予防の啓発活動にも取り組む。
ブログ:リハビリと身体のケアラボ(tocchi-fm-1111.com)
日本人の約8〜9割がビタミンD不足か欠乏状態にある——この数字、初めてちゃんと調べたとき、正直「そんなに?」って声が出ました。
ビタミンDって、なんとなく「骨に関係する栄養素」くらいのイメージで、自分自身もそこまで深く考えていなかったんですよね。ところが回復期病棟で18年働いていると、「リハビリが思ったより進まない」患者さんのカルテを掘り下げると、血中ビタミンD値が欠乏レベルだった、なんてことが珍しくないとわかってきました。
骨だけじゃなく筋肉にも、筋力低下にも、転倒リスクにも関わってくる——しかも食事や日光でちゃんと対策できる。これ、知っているかどうかで本当に差がつくところでして、せっかくリハビリを頑張っていても栄養面が抜け落ちていたらもったいない、とずっと思っていました。
今回は、現場の視点とエビデンスを交えながらできるだけ具体的にまとめてみます。
「転んでもいないのに骨折した」「最近なんとなく足がだるい、力が入りにくい」——そんな経験や訴えを、回復期リハ病院の現場でも少なからず耳にします。その背景にしばしば潜んでいるのが、ビタミンD不足です。
ビタミンDと聞くと「骨に関係する栄養素」というイメージが強いかもしれません。しかし近年の研究で、ビタミンDは骨だけでなく筋肉・免疫・神経・血糖代謝など全身に深く関わることが明らかになってきました。そして驚くことに、日本人の大多数がこのビタミンDを慢性的に不足させているとされています。
この記事では、理学療法士・呼吸療法認定士として臨床に18年携わってきた筆者が、ビタミンDと骨・筋肉の関係をエビデンスベースで深掘りし、現場での実体験も交えながら解説します。「なぜ重要なのか」「どう補うべきか」をしっかり理解して、リハビリ効果と健康寿命を底上げしましょう。
📋 この記事の目次
- ビタミンDとは何か?——体内での働きと種類
- ビタミンDと骨の関係——「骨を守る」だけじゃない深い関与
- ビタミンDと筋肉の関係——最新研究が示す驚きのメカニズム
- 日本人のビタミンD不足の現状——なぜこんなに足りていないのか
- 現場エピソード——ビタミンDが見落とされていた患者さんの話
- ビタミンDを補う3つの方法(食事・日光・サプリ)
- 摂りすぎにも注意——ビタミンD過剰症のリスク
- よくある質問(Q&A)
- まとめ
1. ビタミンDとは何か?——体内での働きと種類

ビタミンDは脂溶性ビタミンの一種で、食事からの摂取と日光(紫外線UVB)による皮膚での合成という2つの供給ルートを持つ特殊な栄養素です。体内では肝臓・腎臓で段階的に代謝され、最終的に活性型ビタミンD(1,25-(OH)₂D)へと変換されてはじめて生理作用を発揮します。
| 種類 | 主な供給源 | 特徴 |
|---|---|---|
| ビタミンD2(エルゴカルシフェロール) | きのこ類(干ししいたけ・まいたけなど) | 植物性。体内での活性化効率はD3よりやや低い |
| ビタミンD3(コレカルシフェロール) | 魚類・卵黄・日光(皮膚合成) | 動物性・皮膚合成型。体内活性化効率が高く主力 |
ビタミンDの主な生理作用は以下のとおりです。骨と筋肉に限らず、非常に多面的な役割を持っています。
🦴 骨の形成・維持
小腸でのカルシウム・リンの吸収を促進し、骨密度を維持する
💪 筋肉の合成・機能維持
骨格筋細胞の受容体(VDR)に直接作用し、筋力・筋量を維持する
🛡 免疫機能の調整
自然免疫・獲得免疫の両方に関与し、感染症・炎症を制御する
🩺 生活習慣病との関連
血圧・血糖・脂質代謝にも関与。欠乏が高血圧・糖尿病リスクと関連するとの報告あり
2. ビタミンDと骨の関係——「骨を守る」だけじゃない深い関与
カルシウム吸収の「鍵」としてのビタミンD
骨の主成分はカルシウムですが、カルシウムを食事から摂るだけでは十分ではありません。腸管でのカルシウム吸収率を高めるためにはビタミンDが不可欠です。ビタミンDが十分な状態での腸管カルシウム吸収率は約30〜40%とされますが、ビタミンD欠乏状態では10〜15%程度にまで低下するとも言われています。つまりカルシウムをどれだけ食べても、ビタミンDが足りなければ骨に届かないのです。
日本人の食事摂取基準2020年版では、ビタミンDの目安量が1日8.5μg(成人・高齢者共通)へと大幅に引き上げられました[1]。これは骨折予防を視野に入れた改訂で、以前の5.5μgから55%以上の増加です。それだけビタミンDの重要性が再評価されたといえます。
骨粗しょう症・骨折リスクとの関連
ビタミンD欠乏が続くと副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌が亢進し、骨からカルシウムが溶け出す骨吸収が促進されます。これが慢性的に続くと骨密度が低下し、骨粗しょう症→骨折という流れにつながります。東京大学らの大規模調査では、日本の一般住民のビタミンD欠乏割合がこの10年で有意に減少し、血中ビタミンD濃度も上昇しており、将来的な骨折リスクの低減につながる可能性があると報告されています[2]。裏を返せば、以前はそれほど多くの人が欠乏状態にあったということでもあります。
📌 ビタミンD欠乏→骨折リスク上昇のメカニズム(簡略図)
3. ビタミンDと筋肉の関係——最新研究が示す驚きのメカニズム
骨格筋にはビタミンD受容体(VDR)がある
「ビタミンDは骨の栄養素」というのはもはや過去の認識です。ビタミンD3受容体(VDR)はヒトの骨格筋細胞にも発現していることが明らかにされており、ビタミンDが筋肉の活動に直接影響を与えることが分かっています[3]。具体的には次のような経路で筋肉に作用します。
- 筋細胞のタンパク質合成を促進し、筋繊維を太くする(同化作用)
- 筋細胞内のカルシウムイオン調節を通じて、筋収縮のスムーズさを支える
- 筋肉内の炎症を抑制し、筋損傷からの回復を促す
- ビタミンDが欠乏すると筋細胞が脂肪細胞へ分化しやすくなり、筋肉内への脂肪蓄積(異所性脂肪・IMAT)が促進される
特に注目されるのが国立長寿医療研究センターの研究成果(2024年・Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle掲載)で、ビタミンD欠乏が骨格筋内の脂肪蓄積(筋質の低下)を促進する可能性を初めて明らかにしました[4]。筋質の低下はサルコペニア(骨格筋減弱症)と密接に関連するため、この発見はビタミンDと筋力低下の新たな経路を示す重要な報告です。
サルコペニアとの関連——大規模研究が示す証拠
国立長寿医療研究センターの長期縦断疫学研究(NILS-LSA)1,919名のデータを用いた分析では、ビタミンD欠乏群(血中25OHD値20ng/ml以下)は充足群と比較して、4年後の筋力低下が進行しサルコペニアの新規発生数が有意に増加することが示されました[5]。
また大阪大学大学院の研究(2024年・Geriatrics & Gerontology International掲載)でも、血清ビタミンD値が低い高齢者は骨格筋量指数(SMI)が低く握力が弱く、サルコペニアのリスクが高いことが報告されています[6]。さらに産業医科大学の研究(Lancet Healthy Longevity, 2024年)では、活性型ビタミンD3(エルデカルシトール)の投与がサルコペニアの発症を抑制し、転倒リスクを低減させる可能性があるとの介入研究結果も示されています[7]。
🔑 ポイントまとめ:ビタミンDと筋肉
- 骨格筋細胞にはビタミンD受容体(VDR)があり、直接的に筋機能を制御する
- ビタミンD欠乏→筋肉内脂肪蓄積→筋質の低下という新たな経路が明らかに(2024年)
- 欠乏が続くと筋力低下・サルコペニア・転倒リスクが上昇する
- 活性型ビタミンD3の補充がサルコペニア発症を抑制する可能性がある(介入研究)
4. 日本人のビタミンD不足の現状——なぜこんなに足りていないのか
近年の報告では、日本人の約8〜9割がビタミンDの不足または欠乏状態にあるとされており、特に女性や若い世代での不足が顕著であるとの指摘があります[8]。なぜ日本人はこれほどビタミンDが足りていないのでしょうか?
☀️ 理由①:日照不足・紫外線回避
ビタミンDの約80%は日光(紫外線UVB)による皮膚合成で供給されます。しかし日焼け止めの普及・日傘・屋内作業・高齢者の外出減少などにより、紫外線を浴びる機会が激減しています。冬季の北日本(特に札幌)では、日光照射によるビタミンD合成がほとんど期待できない時期もあります。
🍽️ 理由②:食事からの摂取量が少ない
ビタミンDを豊富に含む食品は、鮭・サバ・イワシなどの脂の多い魚、卵黄、干ししいたけ・まいたけなど限られています。洋食化・魚離れが進む現代の食生活では、食事からの摂取量だけで必要量をまかなうことが難しくなっています。
👴 理由③:高齢になるほど皮膚合成効率が低下する
皮膚でのビタミンD合成能力は加齢とともに低下し、高齢者では若年者の約25〜50%の効率しかないとも言われています。加えて入院・施設入所中の高齢者はさらに日照機会が減り、欠乏リスクが高くなります。
⚖️ 理由④:肥満・脂肪組織への蓄積
ビタミンDは脂溶性のため、体脂肪が多いと脂肪組織に取り込まれて血中に出回りにくくなります(希釈効果)。肥満がある場合、同量のビタミンDを摂っても血中濃度が上がりにくいため、より多い摂取が必要とも言われます。
| 血中25(OH)D濃度 | 評価 | 身体への影響 |
|---|---|---|
| 30 ng/ml 以上 | 充足 | 骨・筋肉・免疫機能が適切に維持される |
| 20〜30 ng/ml | 不足 | 骨密度の維持に支障が出始め、筋力への影響も懸念される |
| 20 ng/ml 未満 | 欠乏 | 骨粗しょう症・サルコペニア・転倒リスクが有意に上昇。骨軟化症・筋力低下を生じうる |
※評価基準は学会・ガイドラインによって若干異なります。詳細は担当医にご確認ください。
5. 現場エピソード——ビタミンDが見落とされていた患者さんの話
🏥 現場エピソード(とっちの実体験)
「毎日こんなにリハビリを頑張っているのに、どうして思うように筋力が戻らないんだろう。」
回復期病棟で担当した70代女性の患者さんを前に、私が感じていた率直な疑問です。
大腿骨頸部骨折の手術後に転院され、リハビリにもとても意欲的に取り組まれていました。しかし、歩行時のふらつきや下肢筋力の回復は予想よりゆっくりで、「もう少し良くなってもいいはずなのに」という状態が続いていました。
主治医が血液検査で25(OH)D(ビタミンD)を測定したところ、12ng/mLと欠乏レベルであることが分かりました。
改めて生活習慣を伺うと、「日に焼けたくないから、ほとんど外に出ないんです」と話され、魚もあまり食べない食生活が長く続いていました。
骨折だけを見ていては気付けなかった背景が、少しずつ見えてきた瞬間でした。
主治医の指示でビタミンD補充を開始し、管理栄養士とも相談しながら、鮭や卵、きのこ類などを無理なく食事へ取り入れていただきました。
数週間後には下肢筋力にも改善がみられ、歩行時のふらつきも少しずつ軽減していきました。
もちろん、この変化はビタミンDだけの効果ではありません。リハビリや自然回復、栄養状態の改善など、さまざまな要因が重なった結果だと思います。
それでも、この患者さんを担当して改めて感じたのは、「骨折を治すこと」と「骨折した原因を見つけること」は別の視点だということです。
私は以前、骨折後の患者さんでは筋力や歩行能力に目が向きがちでした。しかし、この症例を経験してからは、「なぜ骨折したのか」「回復を妨げているものは何か」という背景まで考えるようになりました。
リハビリは骨折した後の機能回復だけが目的ではありません。
転倒や再骨折を防ぎ、その人が安心して生活を続けられるよう支えることも、私たち理学療法士の大切な役割だと考えています。
🏥 現場エピソード②(18年目だから言える話)
これは少し恥ずかしい話なのですが、正直に書いておきます。
経験年数が10年を超えたあたりから、「自分は患者さんを全体的に見られている」という自信がありました。リハビリ中の反応、筋力の伸び方、歩容の変化——そういった細かいサインを読み取ることには、それなりの自信があったんです。
ところが12年目の冬のことです。入院されてきた80代の女性患者さんで、圧迫骨折後のリハビリを担当することになりました。動作練習は順調に進んでいるはずなのに、「足がぼーっとするような感じで、力が入っているのかどうかよく分からない」という訴えが続いていました。
正直なところ、最初は「年齢的なもの」「不安からくる感覚異常かな」と半ば流していました。採血データをちゃんと見ていれば気づけたはずなのに、血中25(OH)D値が9 ng/mlという深刻な欠乏値を見落として2週間近くが経過していたんです。指摘してくれたのは、回診時に別の担当医でした。そのときの「気まずさ」は今でも覚えています。
ビタミンDの補充が始まると、3〜4週間後には患者さん自身が「なんか足がしっかりしてきた気がする」と言い始めました。そのひと言がぐさっと刺さって、「俺は何を見ていたんだろう」と思いましたね。
それ以来、リハビリがなかなか進まない患者さんには、まずカルテの採血データを確認するのが習慣になりました。ビタミンDは「骨折の遠因」として注目されがちですが、リハビリの妨げになっているのが欠乏状態そのものだった、という場面は現場では珍しくないと今では思っています。
6. ビタミンDを補う3つの方法
① 食事からの摂取——ビタミンDが豊富な食品
ビタミンDは特定の食品に偏って含まれています。意識して取り入れることが重要です。
| 食品 | ビタミンD含有量の目安 | 活用のコツ |
|---|---|---|
| 紅鮭(100g) | 約33μg(★★★★★) | 焼き・蒸し・ムニエルなど調理法を問わない |
| さば缶(100g) | 約4μg(★★★) | 手軽・常温保存可。EPA・DHA補給も同時にできる |
| 干ししいたけ(10g) | 約4μg(★★★) | 日光(UVB)に当てると含有量がさらに増える |
| まいたけ(100g) | 約4.9μg(★★★) | きのこ類の中でビタミンD含有量が特に高い |
| 卵黄(1個分) | 約1μg(★★) | 他の栄養素(タンパク質・ビタミンA等)とのセットが◎ |
| いわし(100g) | 約32μg(★★★★★) | 丸ごと食べると骨ごとカルシウムも補給できる |
※含有量は文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」を参照した概数です。調理法等により変化します。
💡 吸収率を高めるコツ:ビタミンDは脂溶性のため、油脂と一緒に摂ると腸管での吸収率が上がります。鮭のムニエル(バター使用)、いわしのオリーブ油炒め、きのこのオイル炒めなどが食べ方として理想的です。
② 日光浴——時間帯・部位・季節を押さえる
日光浴はビタミンD補充の主力手段です。ただし効率よく行うには時間帯・体の部位・季節・地域を考慮する必要があります。
☀️ 効率的な日光浴のポイント
- 時間帯:ビタミンD合成の効率が高い順は「正午(12時)>午前9時>午後3時」。正午前後が最も効率的[9]
- 露出部位:顔・手の甲・前腕など。服で覆われた部分からは合成されない
- 目安時間:夏季の関東なら素肌を15〜30分程度露出する。冬季は長め(1時間以上)が必要な場合も
- 注意点:ガラス越しの日光ではUVBが遮断されるため合成されない。窓の外に出ることが必要
- 日焼け止め:SPF30以上の日焼け止めを塗るとビタミンD合成がほぼ抑制される。短時間の日光浴は素肌で行い、その後に塗布するのが現実的
- 冬・北日本:札幌では冬季の日光によるビタミンD合成はほとんど期待できないため、食事・サプリで補うことが重要[1]
③ サプリメント——選び方と摂り方の注意点
食事や日光だけで充足が難しい場合、ビタミンDサプリメントの活用は合理的な選択肢です。現在市販されているサプリにはビタミンD3(コレカルシフェロール)配合のものが多く、体内での活性化効率が高くおすすめです。
日本人の食事摂取基準2020では、ビタミンDの耐容上限量は成人で100μg(4,000IU)/日とされています。一般的な市販サプリは1粒あたり1,000〜2,000IUのものが多く、通常の使用であれば過剰になる心配は少ないですが、複数のサプリを同時に使用する場合は合計摂取量の確認が必要です。
⚠️ 注意:腎疾患がある方や、医師から活性型ビタミンD3製剤(薬)を処方されている方は、市販サプリとの重複摂取で過剰になるリスクがあります。必ず担当医・薬剤師にご相談ください。
7. 摂りすぎにも注意——ビタミンD過剰症のリスク
ビタミンDは脂溶性のため、過剰摂取すると体内に蓄積し中毒症状を起こす可能性があります。これは日光浴の過剰では起こらず(皮膚で自動調節されるため)、サプリメントや薬の過剰摂取が主な原因です。
⚠️ ビタミンD過剰症の主な症状
- 悪心・嘔吐・食欲不振
- 頭痛・倦怠感・筋力低下
- 高カルシウム血症(のどの渇き・多尿・錯乱)
- 長期的には腎臓や血管へのカルシウム沈着(石灰化)
一般的なビタミンDサプリを目安量通りに使用する分には過剰になるリスクは低いですが、「多ければ多いほど良い」という考えで高用量を継続するのは避けましょう。「不足を補う」という目的にとどめ、必要に応じて血液検査で血中濃度を確認するのが理想的です。
8. よくある質問(Q&A)
Q1. 日焼け止めを毎日使っていますが、ビタミンDは大丈夫でしょうか?
日焼け止めの使用はビタミンD合成を抑制するため、長期的に完全遮断している場合は不足のリスクがあります。しかし、完全に日光を避けていなければ、わずかな露出でも合成は可能です。対策として①1日15〜20分程度の短時間日光浴を習慣にする(その後に日焼け止めを塗る)②不安な方は血液検査で確認する③食事でビタミンDを意識的に摂取する——の3点が有効です。特に紫外線が強い夏季は短時間でも十分な合成が見込めます。
Q2. 高齢の親が骨粗しょう症と診断されています。ビタミンDのサプリは勝手に飲ませていいですか?
骨粗しょう症の治療中の方は、すでに医師から活性型ビタミンD3製剤(薬)が処方されている可能性があります。その場合、市販のビタミンDサプリを追加で飲むと過剰摂取(高カルシウム血症)になるリスクがあります。必ずかかりつけ医・薬剤師に相談してから使用してください。食事での補給(鮭・きのこ・卵など)を増やすことや、安全な範囲での日光浴はサプリを使わない補充方法として有効で、自己判断で始めやすいものです。
9. まとめ
📝 この記事のまとめ
- ビタミンDは骨・筋肉・免疫など全身に関わる「準ホルモン的」な栄養素
- 腸管カルシウム吸収を促進し、骨密度を維持——欠乏すると骨折リスクが大幅上昇
- 骨格筋細胞にはビタミンD受容体(VDR)があり、筋合成・筋質維持に直接作用する
- ビタミンD欠乏→筋肉内脂肪蓄積→サルコペニア発症という新たなメカニズムが2024年に報告された
- 日本人の約8〜9割がビタミンD不足または欠乏状態にある(日焼け回避・魚離れ・加齢などが原因)
- 対策は①ビタミンDを豊富に含む食品を積極的に摂る②適度な日光浴(正午前後15〜30分)③必要に応じてサプリで補う
- サプリを使う際は過剰摂取(特に骨粗しょう症薬との併用)に注意し、医師・薬剤師に相談する
- 入院中・高齢の方は特に欠乏リスクが高く、リハビリ効果にも直結するため栄養評価が重要
「骨折してから気をつければいい」ではなく、骨折・筋力低下を「起こさないための習慣」こそが健康寿命を延ばす最善策です。今日から鮭の塩焼き一皿・干ししいたけの味噌汁・短時間の外歩きを意識してみてください。小さな習慣の積み重ねが、数年後の骨・筋肉・転倒リスクを大きく変えます。
次回は栄養シリーズ続編、「#90 水分摂取と健康|脱水が引き起こす身体への影響」を予定しています。高齢者の脱水と転倒・認知機能低下の関係など、リハビリの現場から見た視点でお届けします!
📚 参考文献
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書. ビタミンD 目安量改訂(5.5μg→8.5μg). 2019年12月. https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08517.html
- Yoshimura N, Iidaka T, Horii C, et al. Trends in the prevalence of hypovitaminosis D over a 10-year period in Japan: the research on osteoarthritis/osteoporosis against disability study 2005–2015. Arch Osteoporos. 2025;20(1):117. doi:10.1007/s11657-025-01601-9
- Owens DJ, Allison R, Close GL. Vitamin D and the Athlete: Current Perspectives and New Challenges. Sports Med. 2018;48(Suppl 1):3-16. doi:10.1007/s40279-017-0841-9 / Cannell JJ, et al. Athletic performance and vitamin D. Med Sci Sports Exerc. 2009;41(5):1102-1110.
- Hosoyama T, Kawai-Takaishi M, Iida H, et al. Lack of vitamin D signalling in mesenchymal progenitors causes fatty infiltration in muscle. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2024;15(3):907-918. doi:10.1002/jcsm.13448
- Mizuno T, Hosoyama T, Tomida M, et al. Influence of vitamin D on sarcopenia pathophysiology: a longitudinal study in humans and basic research in knockout mice. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2022;13(6):2961-2973. doi:10.1002/jcsm.13102(国立長寿医療研究センター・NILS-LSA縦断研究)
- Onishi Y, Akasaka H, Hatta K, et al. Association between serum vitamin D levels and skeletal muscle indices in an older Japanese population: The SONIC study. Geriatr Gerontol Int. 2024;24(9):898-903. doi:10.1111/ggi.14612
- Kawahara T, Suzuki G, Mizuno S, et al. Active vitamin D treatment in the prevention of sarcopenia in adults with prediabetes (DPVD ancillary study): a randomised controlled trial. Lancet Healthy Longev. 2024;5(4):e255-e263. doi:10.1016/S2666-7568(24)00009-6
- Miyamoto H, Kawakami D, Hanafusa N, et al. Determination of a Serum 25-Hydroxyvitamin D Reference Ranges in Japanese Adults Using Fully Automated Liquid Chromatography-Tandem Mass Spectrometry. J Nutr. 2023;153(8):1253-1264. doi:10.1016/j.tjnut.2023.04.023
- Miyauchi M, Hirai C, Nakajima H. The solar exposure time required for vitamin D3 synthesis in the human body estimated by numerical simulation and observation in Japan. J Nutr Sci Vitaminol. 2013;59(4):257-263. doi:10.3177/jnsv.59.257(国立環境研究所・東京家政大学)
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」第3章ビタミン——ビタミンD. 長寿科学振興財団「健康長寿ネット」骨粗鬆症と栄養より参照. https://www.tyojyu.or.jp/kankoubutsu/gyoseki/shokuji-eiyo-kokucare/h31-4-2-3.html
- 日本サルコペニア・フレイル学会/国立長寿医療研究センター「サルコペニア診療ガイドライン 2017年版」(一部2023年改訂). https://jssf.umin.jp/guideline.html
【免責事項】本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、特定の疾患の診断・治療を目的とするものではありません。ビタミンDの補充・サプリメント使用については、腎疾患・骨粗しょう症の治療中の方など個別の医療状況により適切な方針が異なります。実践される際は必ず主治医・薬剤師にご相談ください。本記事の情報に基づく行動は自己責任のもとご判断いただき、体調に異変を感じた場合は速やかに医療機関を受診してください。
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