✍️ この記事を書いた人
とっち|理学療法士
回復期リハビリテーション病院 勤務18年目 / 🧠 脳卒中認定理学療法士 / 🫁 3学会合同呼吸療法認定士
学会発表5回・論文投稿2回の経験を持つ。回復期病棟では嚥下機能が低下した患者さんと日々向き合い、言語聴覚士・管理栄養士との多職種連携で食支援に取り組んでいる。
ブログ:リハビリと身体のケアラボ(tocchi-fm-1111.com)
📖 はじめに——現場で気づかされたこと
18年前、新人のころ、ある患者さんにこんなことを言われました。「先生、ゴックンするとき、のどがちゃんと動いてる感じがしないんだよ」。当時のぼくには正直ピンとこなくて、「食事は問題ないって記録にありますよ」と流してしまったんですよね。でも翌朝、その方は誤嚥性肺炎で発熱。熱が38.2℃あって、食事の記録は「全量摂取」のまま残ってた。
あのときの、カルテを見つめながらじわっと広がった後悔は、今でも忘れられません。「むせてないから大丈夫」じゃなかった。嚥下って、見た目にはほとんど何も起きていないように見えるのに、のどの中では0.5秒で勝負が決まっているんです。18年目になった今でも、「飲み込みにくい」という訴えには絶対に流さないと決めています。この記事が、そのひと言を大切にするきっかけになれば。
「食事中によくむせる」「飲み物が飲み込みにくい」「食後に声がガラガラする」——こうした変化を、ご自身やご家族に感じたことはありませんか?
これらのサインは、摂食嚥下障害(えんげしょうがい)のサインかもしれません。嚥下障害とは、食べ物や飲み物を口から飲み込む一連の動作に何らかの障害が生じた状態です。高齢者に多く、放置すると誤嚥性肺炎・窒息・低栄養といった深刻な合併症を引き起こすリスクがあります。
一方で、食事形態の工夫や適切な訓練によって、楽しく安全に「食べる」ことを続けられる可能性は十分にあります。この記事では、回復期リハ病院で18年間、多くの患者さんの「食べること」を支えてきた理学療法士の視点から、嚥下障害の基礎知識・食事形態の選び方・日常でできる工夫をわかりやすく解説します。
📋 この記事の目次
- 嚥下障害(摂食嚥下障害)とは?—— 「飲み込む」という複雑な動作
- 嚥下障害の主な原因と症状
- 嚥下障害が引き起こすリスク——誤嚥性肺炎と低栄養
- 「嚥下調整食学会分類2021」——食事形態の統一ルール
- 食事形態の選び方と日常での工夫
- 現場で気づいた「食べる意欲」の大切さ
- セルフケアでできる嚥下トレーニング
- よくある質問(Q&A)
- まとめ
1. 嚥下障害(摂食嚥下障害)とは?—— 「飲み込む」という複雑な動作
嚥下(えんげ)とは、食べ物や飲み物を口から取り込み、咽頭(のど)・食道を通って胃へ送り込む一連の動作のことです。一見シンプルに見えますが、この動作には約30種類もの筋肉と5本の脳神経が連携して働いており、非常に精密なコントロールが必要です。
嚥下の動作はおおまかに3つのステージに分けられます。
| ステージ | 名称 | 主な働き |
|---|---|---|
| ①口腔期 | 口の中の段階 | 食べ物を噛んで唾液と混ぜ、飲み込みやすい塊(食塊)を作り、舌でのどに送る |
| ②咽頭期 | のどの段階 | 約0.5〜1秒の瞬間に気道を閉鎖し、食塊を食道へ送る(最も誤嚥リスクが高い段階) |
| ③食道期 | 食道の段階 | 食道の蠕動(ぜんどう)運動で食塊を胃へ送り込む |
特に重要なのが咽頭期です。「のどぼとけ(喉頭)」が素早く上前方へ動き、気道の入り口(声門)を閉じることで食べ物が肺に入るのを防ぎます。この一瞬の動きが何らかの理由で遅れたり、不完全になったりすると「誤嚥(ごえん)」が生じます。

💡 誤嚥と嚥下障害の違い
嚥下障害=飲み込む機能全体に問題がある状態(広い概念)。
誤嚥=食べ物・飲み物・唾液などが誤って気管・肺に入ること(嚥下障害の症状の一つ)。
注意が必要なのが「不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)」——咳やむせがまったくない状態で誤嚥している場合です。脳卒中や認知症の患者さんに多く、本人も周囲も気づかないまま肺炎が進行することがあります。
2. 嚥下障害の主な原因と症状
主な原因
嚥下障害の原因疾患は多岐にわたりますが、脳卒中(脳梗塞・脳出血)が最多で約60%を占めるとされています[1]。のどや口の筋肉は脳から指令を受けて動くため、脳のダメージが嚥下機能に直結するのです。
🧠 神経・筋疾患
脳卒中(約60%)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄小脳変性症、認知症など
👴 加齢による機能低下
のどや舌・口の筋肉の筋力低下(老嚥)、唾液分泌量の減少、嚥下反射の遅延
🦷 口腔・咽頭の構造的問題
頭頸部がん・食道がんの術後、歯の欠損・義歯不適合、口腔乾燥症
💊 薬剤の影響
向精神薬・睡眠薬・抗ヒスタミン薬などによる嚥下反射の遅延、口腔乾燥
気をつけたいサイン——こんな症状があったら要注意
⚠️ 嚥下障害の主なサイン
- 食事中・食後によくむせる、咳き込む
- 食後に声がかすれる・ガラガラする(「濡れた声」)
- 飲み込みに時間がかかる、食事に30分以上かかる
- 食後に胸やけ・胸の詰まりを感じる
- 食事量が減り、体重が落ちてきた
- 繰り返す原因不明の発熱・肺炎(不顕性誤嚥のサイン)
- 口から食べ物がこぼれる、うまく噛めない
※上記のサインが複数あてはまる場合は、耳鼻咽喉科・神経内科・リハビリ科のある医療機関へご相談ください。
3. 嚥下障害が引き起こすリスク——誤嚥性肺炎と低栄養
嚥下障害を放置するとさまざまな合併症が引き起こされます。特に深刻なのが以下の2つです。
🫁 ① 誤嚥性肺炎——高齢者の死亡原因の上位
誤嚥した食べ物や唾液に含まれる細菌が肺に炎症を起こすのが「誤嚥性肺炎」です。高齢者の肺炎の約70%は誤嚥が関係していると言われ、繰り返すたびに呼吸機能が低下し、命に関わることも少なくありません。ある研究では、嚥下機能が低下した高齢入院患者の3年生存率は約37%にとどまり、嚥下機能が正常な群と比べて死亡リスクが約2.7倍に上昇したことが報告されています[2]。
🍽️ ② 低栄養・脱水——リハビリ回復を妨げる
飲み込みにくいために食事量・水分量が減ると、たんぱく質・エネルギーが慢性的に不足します。前回の記事(#86「リハビリ効果を高める食事」)でも解説したとおり、栄養不足はリハビリ効果を著しく妨げます。特に嚥下障害がある患者さんは、食事形態の制限(刻み食・ミキサー食)によってカロリーやたんぱく質が一般食より不足しがちであることが指摘されており、栄養管理との一体的な取り組みが不可欠です。
4. 「嚥下調整食学会分類2021」——食事形態の統一ルール
以前は病院・施設ごとに「きざみ食」「ミキサー食」などの呼び方がバラバラで、患者さんが転院・転所した際に適切な食形態が引き継がれないという問題がありました。そこで日本摂食嚥下リハビリテーション学会が作成したのが「嚥下調整食学会分類2021」です[3]。
この分類では食事をコード0〜4の5段階に分類し、日本全国で共通の「ものさし」として活用されています。
| コード | 名称(食事) | 特徴・対象 | 食品例 |
|---|---|---|---|
| 0j | 嚥下訓練食0j | 嚥下機能が最も低下した方の訓練開始用。均質でなめらかなゼリー状。 | やわらかゼリー・プリン |
| 0t | 嚥下訓練食0t | スプーンを傾けるとすっとたれる程度のとろみ液体。訓練の第一歩。 | とろみ水・とろみお茶 |
| 1j | 嚥下調整食1j | 均質でまとまりのあるやわらかいゼリー状。咀嚼力はほぼ不要。 | やわらかゼリー、ムース食 |
| 2-1 | 嚥下調整食2-1 | 均質なピューレ・ペースト状。舌と上あごでつぶせる。 | なめらかポタージュ、なめらかヨーグルト |
| 2-2 | 嚥下調整食2-2 | 不均質なピューレ状。やわらかい粒や繊維が含まれてもよい。 | かぼちゃのやわらか煮、スクランブルエッグ |
| 3 | 嚥下調整食3 | 舌でつぶせる軟食。やわらかく、箸やスプーンで切れる。 | やわらか煮魚・茶碗蒸し・豆腐 |
| 4 | 嚥下調整食4 | 歯ぐきや舌でつぶせる普通に近い食事。かたすぎない、ばらけにくい。 | やわらかごはん・煮物・やわらかい肉料理 |
※学会分類2021(日本摂食嚥下リハビリテーション学会)をもとに作成。実際の食形態選択は言語聴覚士・医師の評価に基づいて行う必要があります。
とろみの分類——液体にもレベルがある
液体(水・お茶・ジュースなど)は粘度が低く、嚥下障害がある人にとってコントロールしにくい食品です。学会分類ではとろみについても以下の3段階が定められています。
スプーンを傾けるとすっとたれる。コップを傾けると一気に流れ出す。普通のお茶に近い流れ方だが少し抵抗感がある。
スプーンを傾けるととろとろと流れ落ちる。フォークの穴から少しずつたれる。最もよく使われる段階。
スプーンで塊として取れる。フォークの穴から流れない。重症の嚥下障害がある方向け。飲みにくさと誤嚥リスクのバランスを考慮する必要がある。
⚠️ とろみは多ければいいわけではない!
とろみが濃すぎると、のどに残留しやすくなり誤嚥リスクが高まることがあります。適切な濃度の判断は言語聴覚士(ST)による評価が必要です。自己判断での調整は控えましょう。
5. 食事形態の選び方と日常での工夫
食べやすい食品・注意が必要な食品
| 食べやすい食品 ✅ | 注意が必要な食品 ⚠️ |
|---|---|
| 豆腐・やわらか煮の魚・卵料理(茶碗蒸し・温泉卵) | さらっとした液体(水・お茶)→とろみが必要 |
| ヨーグルト・プリン・ゼリー | パン・クッキー・せんべい(口の中でバラけやすい) |
| 全粥・軟飯(やわらかく炊いたごはん) | こんにゃく・きのこ・海藻類(弾性が高く誤嚥しやすい) |
| かぼちゃ・さつまいもの裏ごし・やわらか煮 | のり・わかめ(口内に貼り付きやすい) |
| バナナ・やわらかく加熱したりんご・桃の缶詰 | ナッツ類・ごま(小粒でむせやすい) |
| あんかけ料理(まとまりやすく滑りがよい) | 繊維の多い野菜(ゴボウ・れんこん・セロリ) |
調理で工夫できるポイント
✅ 工夫① やわらかく調理する
肉・魚はしっかり加熱+マリネや片栗粉でコーティングすることでやわらかくなります。野菜は長時間煮込む・蒸す・電子レンジ加熱で繊維を壊しやすくなります。圧力鍋の活用も効果的です。
✅ 工夫② あんかけ・ソースで「まとまり」をつける
バラけやすい食材(そぼろ・ご飯・野菜など)に片栗粉でとろみをつけた「あん」をかけると、食塊がまとまりやすくなり飲み込みやすさが格段に上がります。「あんかけ」は手軽にできる嚥下食の定番技です。
✅ 工夫③ 水分にとろみをつける
水・お茶・みそ汁など液体にはとろみ剤(増粘剤)を使ってとろみをつけます。市販のとろみ剤(スティックタイプ)は少量でサッと溶けて手軽です。飲み物全てに一律でつける必要はなく、言語聴覚士の指示に従った適切な濃度でのみ使用しましょう。
✅ 工夫④ 見た目と風味を大切に
形をなくしたミキサー食は栄養面では優れていても、見た目のおいしさが損なわれると「食べたい」という意欲が低下します。最近は元の食品の形を模した「ソフト食」「ゼリー食」タイプの市販介護食も増えており、食事の楽しさと安全性を両立できるよう工夫されています。
✅ 工夫⑤ 食べる姿勢・環境を整える
食事中の姿勢は嚥下の安全性を大きく左右します。頭を少し前に傾ける「頸部前屈位(顎を引いた姿勢)」は気道を守りやすく、誤嚥リスクを下げるとされています。車椅子や介護ベッドでは体幹を可能な限り起こし(30〜90度)、正しいポジショニングを心がけましょう。食事に集中できる環境(テレビを消す・落ち着いた雰囲気)も大切です[4]。
6. 現場で気づいた「食べる意欲」の大切さ
🏥 現場エピソード(とっちの実体験)
「もう食べるのが怖いんです。」
回復期病棟で担当した70代女性の患者さんが、昼食前に静かに話してくださいました。
脳梗塞後に誤嚥性肺炎を繰り返し、「また食べたら肺炎になるかもしれない」という不安が強く、食事の時間になると箸が止まってしまいます。
言語聴覚士(ST)の評価では、コード3相当の食事であれば安全に摂取できる状態でした。しかし、実際の食事量は3〜4割程度。嚥下機能よりも、「食べることへの恐怖」が大きな壁になっていました。
私たちは「安全に食べられる食事」を提供するだけでは足りないと考えました。
ST、看護師、管理栄養士と相談し、ご本人が長年使っていたお気に入りの茶碗を持参していただき、好物だったお茶漬けをコード3相当(やわらかいご飯にあんを加えた形態)で再現しました。
最初の一口は、とてもゆっくりでした。
それでも食べ終えたあと、ご本人が笑顔で、
「久しぶりに『ご飯がおいしい』と思えました。」
と話してくださいました。
その日を境に食事量は少しずつ増え、最終的には7〜8割ほど食べられるようになりました。栄養状態の改善とともに体力も回復し、歩行練習も継続できるようになり、ご自宅への退院につながりました。
この症例を通して私が学んだのは、「安全に食べられること」と「安心して食べられること」は違うということです。
嚥下障害の支援では、食事形態を調整することはもちろん大切です。しかし、それと同じくらい、「また食べたい」と思える気持ちを取り戻すことも欠かせません。
私は今でも、食事が進まない患者さんを担当するとき、「何が食べられますか?」だけではなく、「何が食べたいですか?」とお聞きするようにしています。
リハビリは、失った機能を取り戻すだけではありません。
「食べる楽しみ」をもう一度取り戻すことも、その人らしい生活を支える大切なリハビリなのだと、この患者さんから教えていただきました。
嚥下障害があっても、口から食べることを完全にやめる必要はないケースが多くあります。多職種(医師・言語聴覚士・管理栄養士・理学療法士・看護師など)が連携し、その方に合った食形態・量・ペースを見つけていくことが、生活の質(QOL)を守ることに直結します。
7. セルフケアでできる嚥下トレーニング
嚥下機能は適切な訓練で改善・維持できることが多いです。以下は、専門家の指導のもと、または軽度の嚥下機能低下がある方が日常的に取り組みやすいトレーニングです。重症の嚥下障害がある方は必ず専門家(言語聴覚士・医師)の指導のもとで行ってください。
👄 ① パタカラ体操(口腔・舌のトレーニング)
「パ・タ・カ・ラ」の4音を大きな声でそれぞれ5回ずつ繰り返す体操です。「パ」は口唇の動き、「タ」は舌先の動き、「カ」はのどの奥の動き、「ラ」は舌全体の巻き込みを鍛えます。食前に行うと口腔・咽頭の準備運動になり、誤嚥リスクを下げると言われています[5]。食事前に1〜2分行うだけで継続しやすいです。

💪 ② シャキア訓練(舌骨上筋群のトレーニング)
仰向けに寝て、肩を床につけたまま頭だけを足の先が見えるくらい持ち上げる訓練です。「頭部挙上訓練」とも呼ばれ、嚥下に重要な舌骨上筋群(喉頭を引き上げる筋肉群)を強化します。食道入口部の開大が改善されることが報告されています[6]。首に痛みや疾患がある方は必ず医師・専門家に相談してから行ってください。

🎵 ③ 発声・歌唱(声帯・咽頭のトレーニング)
大きな声で歌を歌うこと、「アー」「エー」と声を長く出す練習は、声帯と咽頭の筋肉を動かすトレーニングになります。デイサービスでのカラオケ・合唱などの活動は、楽しみながら嚥下機能の維持に貢献できる実践的な取り組みです。
🦷 ④ 口腔ケア(口の中の清潔を保つ)
口の中の細菌を減らすことで、万が一誤嚥した際の肺炎リスクを下げることができます。食後の歯磨き・入れ歯の洗浄・舌ブラシによる舌の清掃が基本です。乾燥した口腔内は食べ物がまとまりにくく誤嚥しやすいため、保湿ジェルの活用も効果的です。口腔ケアは嚥下訓練と並ぶ重要な誤嚥性肺炎予防策です。
8. よくある質問(Q&A)
Q1. 「むせ」がなければ誤嚥していないと考えていいですか?
いいえ、必ずしもそうとは言えません。先述した「不顕性誤嚥」は、むせ・咳が一切ない状態で食べ物が気管・肺に入ります。脳卒中後・認知症・パーキンソン病などの方に多く、周囲が気づかないうちに肺炎が進行しているケースがあります。むせがなくても「食後の発熱が続く」「声がかれる」「食後に痰が増える」などのサインがあれば、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
Q2. きざみ食は嚥下障害に一番いい食事形態ですか?
「きざみ食」はすべての嚥下障害の方に適しているわけではありません。細かく刻んだ食材はバラバラになりやすく、まとまりが悪いため、咽頭期に食塊として送り込む機能が低下している方では、むしろ誤嚥リスクが高まる場合があります。近年の嚥下医療では「きざめば安全」という考え方は見直されており、学会分類に基づいた適切な食形態の選択が重要です。迷った場合は言語聴覚士・医師にご相談ください。
9. まとめ
📝 この記事のまとめ
- 嚥下(飲み込み)は約30種類の筋肉と5本の脳神経が連携する複雑な動作で、障害が生じると誤嚥・肺炎・低栄養のリスクが高まる
- 原因の約60%は脳卒中。加齢・神経疾患・口腔の問題なども主要因となる
- 「むせがない=誤嚥していない」は誤り。不顕性誤嚥に注意が必要
- 食事形態は「嚥下調整食学会分類2021」のコード0〜4で統一化されており、適切な段階を選ぶことが重要
- 「きざみ食が安全」という固定観念は見直す必要がある。バラけた食材は誤嚥リスクを高める場合がある
- あんかけ・やわらか調理・とろみ剤の活用など、日常調理でできる工夫が多くある
- パタカラ体操・シャキア訓練・口腔ケアなどのセルフケアで嚥下機能の維持・改善を図れる
- 食べる意欲(食欲・食の楽しみ)を失わないことも、嚥下リハビリの重要な要素
- 嚥下に不安があれば、言語聴覚士・医師・管理栄養士への相談が最優先
「食べること」は単なる栄養補給ではなく、生活の楽しみや意欲の源泉でもあります。嚥下障害があっても、適切なケアと工夫によって安全においしく食べ続ける可能性は十分にあります。少しでも気になる症状があれば、早めに専門家に相談することが大切です。
次回は「#94 糖尿病と運動療法|血糖コントロールのための生活習慣」をお届けします。引き続き栄養・生活習慣シリーズをお楽しみください。
📚 参考文献
- リハブクラウド「誤嚥性肺炎とは|高齢者ほど死亡率が高いデータから原因や予防方法を考えよう」https://rehab.cloud/mag/3756/(2024)
- Doi T, et al. “Swallowing function and prognosis in elderly patients with swallowing difficulties.” Journal of the Japanese Society of Dysphagia Rehabilitation. 27(3):179, 2024. J-STAGE公開
- 日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下調整食学会分類2021」日摂食嚥下リハ会誌 25(2):135-149, 2021
- 嚥下障害診療ガイドライン2024年版(第4版).日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会編,金原出版,2024. CQ6「嚥下障害患者に対する姿勢調整は誤嚥防止に有用か?」
- 日医工株式会社「嚥下体操・訓練|嚥下準備体操」監修:浜松市リハビリテーション病院特別顧問 藤島一郎 https://www.nichiiko.co.jp/generic/swallow/swallow_exercise01.php
- 公益財団法人長寿科学振興財団「第6章 リハビリテーション・生活療法 1.摂食・嚥下障害のリハビリテーション」シャキア訓練(頭部挙上訓練)https://www.tyojyu.or.jp/kankoubutsu/gyoseki/shokuji-eiyo-kokucare/h31-6-4-1.html
- 嚥下障害診療ガイドライン2018年版. 日本耳鼻咽喉科学会編. 金原出版, 2018.
- 森永乳業クリニコ「嚥下調整食と学会分類について」https://www.clinico.co.jp/columns/carefood001/
【免責事項】本記事は一般的な健康情報の提供を目的としており、特定の疾患の診断・治療を目的とするものではありません。嚥下機能の評価・食事形態の選択・訓練の実施については、必ず主治医・言語聴覚士・管理栄養士等の専門職にご相談ください。本記事で紹介したトレーニングは軽度の機能低下を対象としており、重症の嚥下障害がある方が自己判断で実施することは危険を伴う場合があります。嚥下障害が疑われる場合は速やかに医療機関を受診してください。本記事の情報を実践される際は自己責任のもとご判断ください。
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